【2021年11月26日(金)1面】 岩手駐(司令・香川1陸佐)は11月6、7の両日、釜石市を会場に開催された「ぼうさいこくたい2021」に参加した。催しは、災害への備えを学ぶ国内最大級のイベントとして「防災推進国民大会2021実行委員会」が主催して開催。駐屯地は屋外展示場で装備品を展示した。

 会場には多くの来場者が訪れ、各関係機関が展示・出展した防災機器や地震体験車などで災害の恐ろしさを体験。災害に対する備えの認識を新たにし、自衛隊の展示会場では、東日本大震災などの災害で実際に運用した装備品を展示して任務や役割、装備品の運用方法などを説明した。

 この間、積極的に質問する関係機関や隊員に話を聞くなど、来場者の防災意識の高揚に貢献するとともに、自衛隊の活動への理解と信頼感の醸成を図ることができた。

 岩手駐は「今後もあらゆる場を活用して災害の記憶や教訓を伝承し、防災意識の高揚や地域、関係機関との連携強化を図っていく」としている。

画像1: 【防災・岩手特集】災派運用の装備品を展示|岩手駐屯地
画像2: 【防災・岩手特集】災派運用の装備品を展示|岩手駐屯地
画像3: 【防災・岩手特集】災派運用の装備品を展示|岩手駐屯地

岩手駐屯地について

 司令は香川賢士(けんし)1陸佐。岩手県唯一の陸自駐屯地。現在は、東北方面特科連隊、9高射特科大隊、9戦車大隊、9後方支援連隊2整備大隊、387施設中隊および諸隊が駐屯。所属隊員の約80%が岩手県出身隊員で構成される郷土部隊として、「信頼される駐屯地・地域とともに歩む駐屯地」を合言葉に、約1500人が日夜厳しい訓練に励んでいる(駐屯地ホームページから)。

 東日本大震災発生後は、各部隊を沿岸部の各市町村に展開させ、即自救援活動に取り組む一方、東北・北海道から集結した部隊の活動拠点として重要な役割を担った(「東日本大震災津波からの復興-岩手からの提言」から)。


◆関連リンク
陸上自衛隊 岩手駐屯地
https://sec.mod.go.jp/gsdf/neae/neafar/


「復興進んでいる」が半数超え

 岩手県は今年1~2月、県内に居住する18歳以上の男女5000人に対し、復興に関する意識調査を実施した(有効回収率66.2%)。

 調査は、令和3年「岩手県の東日本大震災津波からの復興に関する意識調査(速報)。復興計画の実効性を高め、長期にわたる復興に向けた取り組みの着実な推進を図るのを目的にアンケートした。

 調査結果によると、「県全体をみて、震災からの復旧・復興が進んでいると感じるか」の質問に対し、県全域では「進んでいると感じる」「やや進んでいると感じる」の合計が54.7%で、前回(令和2年)調査から7.9ポイント増加した。

 また、地域別では、2つの答えの合計が沿岸部で10.9ポイント、内陸部で7.2ポイント増加していた。

10年8カ月の節目に行方不明者の捜索

 「NHK NEWS WEB」によると、東日本大震災から10年8カ月となった11月11日、岩手県釜石市の愛の浜海岸で警察による行方不明者の捜索活動が行われた。同市では、県全体の1111人のうち152人が行方不明となっている。

 この日は、警察官16人が海に向かって黙とうをささげたあと、釜石警察署の前川剛署長が「行方不明者の家族の思いに応えるためにも何らかの手がかり、思い出の品などが見つかるよう努めてほしい」と訓示した。

 この後、警察官は熊手を使って砂を掘り起こしたり、警察犬と海岸沿いを歩いたりして、手がかりを探していた。

住宅再建進むも、魚市場や観光面の回復は5~6割

 岩手県復興防災部が今年10月に発行した岩手県の東日本大震災津波からの10年の復興の取り組み状況などに関する報告書「いわて復興レポート2021(概要版)」によると、4本の柱ごとに計画との比較を示す主な実績をデータで紹介している。

【安全の確保】

 海岸保全施設の整備状況では、要整備区間総延長76.8キロのうち96.5%が完了した。復興まちづくり(面整備)では、宅地区画数の7472区画は100%完了。また、復興道路供用延長では、91.4%が供用中で、残りの8.6%も事業中となっている。

【暮らしの再建】

 災害公営住宅整備戸数は、予定の5833戸のすべてが完了。ピーク時に約4万3000人いた応急仮設住宅入居者数(みなし仮設含む)は、恒久的住宅へすべて移行した。また、公立学校施設の復旧状況(沿岸地区)も86施設の工事が100%完了している。

【なりわいの再生】

 補助事業による新規登録漁船数は、計画値の97%、養殖施設数も同99%まで回復した。また、農地は復旧対象面積の100%が復旧した。

 しかし、産地魚市場の令和2年度の水揚げ量は、震災前3年間の平均と比べて55%、養殖生産量も3年前の49%。また、三陸沿岸13市町村の観光入り込み客数は、震災前年と比べて60%の回復にとどまっている。

【未来のための伝承・発信】

 津波の事実と教訓を伝承するため、高田松原津波復興祈念公園内に「東日本大震災津波伝承館」を整備(累計来館者数・31万9436人=令和3年3月末現在)。また、「いわて震災津波アーカイブ~希望~」の活用促進に取り組み、計画値を超えるアクセス数(令和元~2年度計画値比134%)となっている。

 また、復興の姿を重層的に発信するため、県内外で継続的に開催しているフォーラム、希望郷いわて国体・いわて大会やラグビーワールドカップ2019岩手・釜石開催などを通し、復興に力強く取り組んでいる地域の姿や支援への感謝、東日本大震災津波の記憶と教訓を国内外に発信した。


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