はじめに

総合防災コミュニティ「学防 manabou」運営メンバーの生活密着型ママ防災士セイコです。主婦と子どもの視点から考える「普通の暮らしの中の防災」を担当しています。

私は寒いのがとても苦手です。冬が近づくと寒さ対策の心配が尽きません。
もし冬の間に停電したら、どうする? 暖房が使えないうえに冷たい食事が続くの?避難生活中の温かい食事って避難所の炊き出ししかない? 

そんなわけで、避難生活中にも温かい食事を味わいたい!実験をしてみたのが、今回のテーマ。

結論から申し上げますと、とても楽しく満足いく結果に。みなさんの備蓄品選びの参考になればうれしいです。

避難生活の食品温めを考える

在宅避難の場合の調理のために、カセットコンロとボンベを21本準備しています。けれどもそれが地震による避難生活だった場合、余震の恐れのある中で火を使うのは不安です。

画像1: 避難生活の食品温めを考える

余震でカセットコンロが調理台から落ちて、何かに燃え移って火事になったら…熱いものが身体にかかって火傷したら…。そんなことを想像して、なんとカセットコンロをシンクの中で使う私(さすがに心配性が過ぎるかもという自覚はあります)。

そこで使ってみたのが、火を使わずに食品を温めることができるキット
軽量でコンパクトなので、非常用持ち出し品に加えることもできます。

今回はこれで、どの程度、温かい食事をいただくことができるのかを実験してみました。

画像2: 避難生活の食品温めを考える

加熱袋&発熱剤セット(Lサイズ)の温めの目安量

加熱袋&発熱剤セットに付属の説明書には、加熱できる食品の目安量が記載されています。

☆環境温度20℃の場合 
例1)レトルト食品200g+パックご飯200g+缶飲料250ml
例2)500mlペットボトル2本を約70℃に。アルミ缶ならさらに高温に。
例3)生とうもろこし2本(半分に折って)
例4)缶飲料3缶
例5)カップ酒200ml、4本

「生とうもろこし2本」にびっくり⁉ 食材の”調理”はまったく想像していなかったのですが、茹で(蒸し)野菜として火を通すことはできるわけです。ブロッコリーとかお芋とかも食べられるかも⁉︎…次回の実験に意欲がわきます。

私たちのランチのために用意した食品

・アルミ缶のミネラルウォーター490ml:1本
・おでん(レトルト)430g:1パック
・白がゆ(レトルト)250g:1パック
・さんまの蒲焼(缶詰)1缶 
・けんちん汁(フリーズドライ)2パック →これは加熱袋には入れません

比較的小柄な女性2名(=私と娘)で分け合うイメージで用意しました。

とはいえ、前述した「加熱できる食品目安量」の2倍くらいに。今回はダメ元で多めに詰め込んでみることにしました。多すぎると温まらないかな…。

画像: 私たちのランチのために用意した食品

加熱袋&発熱剤の使い方

①発熱剤をアルミ袋から取り出す。
②加熱袋の底に寝かせて入れる
③発熱剤の上に食品をのせる。※この時、各食品を発熱剤に触れさせるのがコツ。説明書には「食材と発熱剤が底で重なるように」と記載あります。
④発熱剤が入っていたアルミ袋の内側の線まで水を入れ、加熱袋の中に注ぎます。※説明書には「川・池の水でも使えます。海水は使用できません」との記載。加熱は、飲料用の水ではなく生活用水でも大丈夫ということです。
⑤ジッパーで加熱袋の口を閉じます。

画像1: 加熱袋&発熱剤の使い方

すぐにぶくぶくと発熱が始まるので、袋が倒れたり蒸気でやけどすることがないようにして、15~20分待ちます。

画像2: 加熱袋&発熱剤の使い方

できあがりは?

やはり食品の詰め込みすぎのせいもあり、発熱剤に触れる面積が狭くなってしまったレトルトのおかゆは、ほんのり温まった程度になってしまいました。

が、レトルトのおでん・さんまの缶詰・水は見事に熱々になりました。大根もゆで卵も芯まで温かくやわらかに。おでん買い増し決定です。

中でもアルミ缶の水は、開栓するのに当て布が必要なほどの熱さになり、このお湯で戻したフリーズドライのお味噌汁ももちろん温かく出来上がりました。

画像: できあがりは?

避難生活中に20分でこんな温かいご飯が食べられるのは、とても嬉しいです。

さらにアレンジメニューも

さて、おでんの出汁はどうしましょうか。処分するのはもったいないし、ゴミ処理が滞る避難生活中の食品の廃棄は、精一杯控えたいものです。スープとして飲むこともできるかもしれませんが、今回思いついたアレンジはコチラ!

アツアツおでんの汁でアルファ化米を戻そう!

画像1: さらにアレンジメニューも
画像2: さらにアレンジメニューも

アルファ化米の戻し時間は、水で60分、お湯で15分が目安です。今回は、アツアツおでんの出汁を入れて20分で、あったかい味つけご飯が完成しました。

画像3: さらにアレンジメニューも

加熱袋に無理やりレトルトおかゆを詰め混むより、こちらのコースの方が良さそう!
あたたかいご飯って本当にうれしいものです。

もうひとつ余っているのが、お湯です。

今回温めたのは490mlボトル。お味噌汁を作るのに150ml×2杯=300ml使いました。残る190mlは、いったん保温ポットに移し替えて保存。

そして3時間後、温かいコーヒーでおやつを楽しむこともできました。

画像4: さらにアレンジメニューも

ありそうで、あまり出会わない水の缶

おでんもアルファ化米も期待を越える結果になりましたが、一番欠かせなかったのはやはり、お湯・水です。それもアルミ缶ボトル。

加熱袋&発熱剤ではペットボトル飲料を温めることもできるのですが、アルミ缶だからこその熱伝導で高温まで温まり、同時に隣に接触していたおでんの温めにも一役買ったのではないかと思います。

また湯せんで温める場合もアルミ缶の方が安心ですし、効率が良いです。

画像: ありそうで、あまり出会わない水の缶

我が家のアルミボトルの水の在庫は、現在22本。非常時の温め専用としての備蓄計画です。

避難生活中に22本飲み切ってしまっても、キャップタイプ式なので、空き缶に他から水を移し替えれば、温め用の容器として再利用できるつもりです。

飲料の備蓄というと2Lのペットボトルのイメージが強い気がするのですが、容量やボトルサイズもさまざまに用意しておく方と便利です。

2Lボトルの飲料を飲む時には、大半の方にとってコップが必要になりますが、500mlボトルならそのまま飲むこともできます。

持ち歩きたいとき、1日で飲み切れない場合などにも、容量が少ない方が便利ですよよね。

また、お茶やコーヒーや甘い飲み物がお好きな方は、そういったものも少し備蓄計画に加えておくと、安らぎになるのではないかと思います。

(おまけ)保温と器の話

今回は、私が避難リュックに入れている、自宅外避難用の食器を使いました。

プラスティックのスクリューキャップ式の保存容器にポリ袋をかぶせています。

”自宅外避難用”としているのは、荷物の軽量化を優先して準備したものだからです。在宅避難でしたら、重量より便利さを優先した食器を利用することができます。

画像1: (おまけ)保温と器の話

いずれにしても、災害時の洗い物ができない環境では、食器にポリ袋やラップをかけて使用すると便利です。汚れたポリ袋やラップを外して処分すれば、食器を洗わずにまた使うことができます。

私がポリ袋を選んだ理由は、
・ラップより食器からずれにくいこと
・食器が一つしかなくても、袋を入れ替えれば一度に複数の食品に使いまわせること
・食後にはゴミを入れてしっかり縛れば臭いを防ぎ衛生面でも扱いやすい
と考えたからです。

プラスティックのスクリューキャップ容器のメリットして
・紙皿や紙コップより安定性もあり、丈夫で繰り返し使える
・深型なので、ご飯ものも汁物もおかず類にも対応
・汎用性があるわりに本体は軽量
・蓋つきなので、例えば炊き出しで熱い汁物を配られて、移動するときにも熱い物をこぼす危険が減るのではないか
などを考えて、この一式にしています。

デメリットは避難リュックの中でかさばることですが、中にガムを入れて収納スペースにしています。避難生活中は気持ちよく歯磨きができるとは限りませんから、食後はガムを噛んで歯磨き前の掃除をしておくつもりです。

画像2: (おまけ)保温と器の話

ですが、在宅避難の場合は荷物の重量を気にする必要はありませんので、いつもお弁当に使っている保温スープジャーを活用する予定です。保温スープジャーなら、より温かい食事が期待できます。

例えば、お湯と食材を入れて蓋をして数分放置することで袋物のインスタントラーメンやマカロニ入りスープもアツアツのまま食べることができます。

画像3: (おまけ)保温と器の話

まとめ:やっぱり、水が!備蓄が!大事!

つくづく水とお湯のありがたみを感じます。災害で水道が止まり水の入手が難しくなっても、しばらく自力でしのげるだけのお水は、ぜひとも備蓄をしておいていただきたいです。

特に集合住宅の上層階の方は、エレベーターが停止したときの水の運搬を想像してみてください。

水はいつでも使えますから、備蓄は決して無駄にはなりません。もし賞味期限が切れてしまっても、しばらくは心配なく飲むことができるそうですし、飲むのに抵抗があるなら、きれいな生活用水として活用することができます。

また今回はアレルギーのある方には参考にならないメニューばかりで申し訳ありません。
避難所の炊き出しや配布される食品には、アレルギー対応も意識されるようになってきてはいますが、十分安心とは言えません。

個人の好き嫌いもありますし、やはり基本的に最低3日分(できれば1週間)の水と食料(できれば温かく食べられる準備も)、そしてトイレパックを自前で用意しておくことをおすすめしたいです。

自助をしっかり整え、そのうえで困った時にお互いに助け合える社会になれたら、災害大国といわれるこの土地にふさわしい暮らし方になるのではないかしらと感じています。

防災コミュニティ「学防 manabou」

【防災コラム】は、防災コミュニティ「学防 manabou (防災・防犯学習コミュニティ)」の運営メンバーが週替わりで発信しています。

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