画像: 【特集】援護-自衛隊と地域社会をつなぐ-㊤・定年隊員|札幌、帯広、徳島地本

 【2021年10月1日(金)1面】 自衛官の募集と並び、地本の大きな業務の一つが「援護」。退職する自衛官の再就職を支援する活動だ。一定期間を終了した任期制隊員に対し、また、近く定年を迎える若年隊員に対し、教育や企業との合同説明会など、さまざまな支援を続けている。自衛隊と地域社会をつなぐ窓口であり、隊員の退職後までを支援するサポーターでもある担当者たち。8月後半、各地で集中して行われた活動の様子を3回に分けて紹介する。

雇用情勢から資産形成まで|札幌地本

 札幌地本岩見沢駐屯地援護センター(センター長・奥田2陸尉)は8月19日、同駐で令和4年度に定年退職を予定している隊員11人に対し、令和3年度「第1回定年直前教育」を行った。教育は、定年1年前の若年定年退職予定隊員に対し、最新の雇用情勢や再就職の心構えなどを教育し、円滑な再就職準備の推進を図るのが目的。

 教育は、奥田センター長が最新の雇用情勢、定年後のライフプラン、再就職規制制度を説明。その後、(1)部外講師によるファイナンシャルプランの復習、保険の見直し(2)駐屯地業務隊総務科、厚生科による若年定年退職者給付金の説明、退職に際した共済、年金受給手続き(3)予備自衛官課による予備自衛官制度の概要―についてそれぞれ講義が行われた。

 教育終了にあたり、奥田センター長は隊員に対して「教育を機に再就職への意識を高めるとともに、退職までの期間を有効に活用していただきたい」と述べ、隊員からは「最新の雇用情勢が確認できた。再就職に向けてしっかりと準備していきたい」「退職金や年金についての理解が深まった。今後のライフプランに反映したい」などの声が寄せられた。

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 札幌地本北恵庭駐屯地援護センター(センター長・吉田陸曹長)は8月27日、北恵庭駐で令和7年度に定年退職を予定している隊員17人に対し、令和3年度「第1回定年4年前教育」を実施した。教育は、定年4年前の若年定年退職予定隊員に対して、再就職への意識づけを図るのが目的。

 教育は、吉田センター長による最新の雇用情勢、退職までのスケジュールの説明に始まり、部外講師による個人型確定拠出年金(iDeco)を活用した資産準備、防衛省生活協同組合の概要、駐屯地業務隊衛生科による禁煙を強調した健康管理、厚生科による公的年金制度についての講義が行われた。
 教育終了にあたり、吉田センター長は隊員に対して「残り4年間を計画性のある準備期間にするため、進むべき方向性を早期に確立して、再就職への意識を高めていただきたい」と述べた。

 隊員からは「再就職に向けた意識改革の重要性を認識することができた」などの声があった。

 札幌地本は「隊員が再就職準備を不安なく進められるよう、部隊と連携を図りつつ親身な就職の援助を行っていく」としている。

画像: センター長による教育

センター長による教育


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雇用就農の説明も|帯広地本

 帯広地本援護課道東地域援護センター美幌分室(分室長・安山2陸尉)は8月19日、令和3年度「第1回定年退職者直前教育」を美幌駐で実施した。教育は、定年退職を直前に控えた隊員を対象に、円滑な再就職準備をさせるのが目的。13人が参加した。

 教育は午前8時15分から始まり、参加者は共済年金制度(手続きなど)の説明、ハローワーク美幌分室主任の西村英啓氏による最新の雇用情勢の説明を受けた。

 その後、部外講師として東京海上日動火災保険北見損害サービス課の末吉禎典氏による「定年後のライフプラン」と題した講話が行われ、ライフプランの必要性、資金運用の基礎知識について聴講した。

 午後からは、隊友会美幌支部長の西岡巌氏から隊友会普及説明、また、道東地域援護センター長から再就職に対する心構えの教育、帯広地本援護課予備自室長から予備自衛官制度などの説明を受けた。
 その後、地域に根差した産業(農業など)への再就職支援施策として、北海道農政事務所北見地域拠点・主任農政推進官の池田健一氏による農業説明、オホーツク総合振興局産業振興部・農務課農業経営係の松木憲一氏による「オホーツク農業と雇用就農の実態」、北海道畜産公社・総務課長の橋田晃氏による「再就職者向け企業説明」が行われた。最後に履歴書などの作成要領、各教育の所見などを記入し、教育を終了した。

 参加者たちは、厳しい雇用状況を改めて知り、これからの再就職に向けて身を引き締めた様子だった。

画像: 分室長からの説明

分室長からの説明

画像: 教育に参加した13人

教育に参加した13人


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隊員29人、31社と面談|鳥取地本

 鳥取地本(本部長・村田1空佐)は8月31日、鳥取県米子市の米子コンベンションセンターで一般財団法人自衛隊援護協会広島支部が主催する令和3年度「山陰地区合同企業説明会」を担任実施した。

 説明会は、山陰地区に就職を希望する退職予定隊員と地元企業とが面談を実施し、職業選択の資とするのが目的。今年度は、地元企業31社と隊員29人が参加した。

 鳥取県新型コロナウイルス感染症対策本部の指針に即し、緊急事態宣言区域、まん延防止等重点措置区域に所在する企業、部隊からの参加を制限したほか、2週間前からの健康状況表の提出、検温などの対策を徹底。参加を制限した隊員に対しては、所属部隊にいながら会場の企業採用担当者と携帯電話で会話し、質問できるよう配慮した。

 村田本部長は「ここに集まった隊員は、長年の訓練や勤務を通じて、礼節や責任感、組織を優先する心構えができており、会社にとって大きな戦力になるものと思います」とあいさつした。

 説明会が始まると、入場した隊員らは意中の企業ブースを訪問し、所属、階級、氏名を名乗り、面談に臨んだ。隊員からは「さまざまな企業の話が聞け、選択肢が広がった」「就職先・業種などで迷っていたが、目標が見えてきた」などの声が聞かれた。

 参加企業の採用担当者は「多くの隊員と面談できた。これを採用につなげていきたい」。また、今回初めて参加した企業担当者からは「希望する人材に出会えた。来年度もぜひ参加させていただきたい」と今後に期待する声も寄せられた。

 鳥取地本は「説明会の成果を踏まえ、コロナ禍にあっても採用意欲の高い企業の求人情報を集積し、援護協会と連携して隊員の自発的な適職選択を促し、早期就職先決定に努めていく」としている。

画像1: 隊員29人、31社と面談|鳥取地本
画像2: 隊員29人、31社と面談|鳥取地本

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