新型コロナウイルス感染症の第3派の中、10都府県に緊急事態宣言がいまだ続いておりますけれども、ワクチンの輸入と接種が始まり、東京都では外出自粛や店舗の時短など皆の努力から3カ月ぶりに新規感染者数が200人を下回るなど、予断は許さぬものの、兆しのようなものも少し見えつつあるような気がしてきました。

 筆者の生業とする航空貨物業界ではもう何年も前から医薬品輸送が重要なサービス提供分野として注目され、そのために必要なルール、輸送器具、温調倉庫・車両などが開発され、この新型コロナウイルスワクチン輸送でその本領がついに発揮され始めています。

 他方、勤務地の成田空港周辺では大規模なグランドホテルクラスのホテルの建設も行われており、それは東京五輪に間に合うような日程で始まったものではありませんが、そういえば第3滑走路の建設が決まり実際に用地買収も始まっていて、発着枠が増えることに向けてのホテル建設なのだろうと合点がいった次第です。時間のかかる事業では、もうポスト東京五輪の投資が始まっているのですね。

御前崎開港記念行事でブルーインパルスが飛ぶかも!

画像: 清水みなと祭り2017年(写真:管理人)

清水みなと祭り2017年(写真:管理人)

 そんな中、ブルーインパルスファンにとって、ちょっと気になる嬉しい記事が飛び込んできました。

中日新聞「御前崎市予算案 開港事業や教育IT推進」2021年2月16日
『御前崎港開港五十周年では、大型客船寄港や空自のブルーインパルスの飛行などの記念行事を予定している。併せて周辺の観光資源を活用した観光交流人口増加を目指す』

 この記事から、御前崎市予算案に開港記念行事の予算が盛り込まれ、そこにブルーインパルスを呼ぼうとしているということがわかります。御前崎港は御前崎市と牧之原市にまたがった港で、両市HPからも「御前崎港開港五十周年記念行事」の準備が着々と進んでいることがわかります。

牧之原市ホームページ「開港50周年!御前崎港について」
https://www.city.makinohara.shizuoka.jp/soshiki/39/36823.html

 横浜開港祭や清水みなと祭りでブルーインパルスが大好評のうちに展示飛行を成功させたことは記憶に新しいところです。あの感動が今度は御前崎港で蘇るのか!しかも大型客船も寄港しているかもしれないし、(清水みなと祭りで雲に隠れていた)富士山が背景に見えるかもしれない、などと予算案の記事を見ただけで正式に決まったわけでもないのに、これはもう大変楽しみなのであります。

 こういう楽しみのために今を頑張ろう。そういうブルーインパルスファンの方も多いはずです。ここでは、そんな将来においてブルーインパルスを呼んでみたいという、主にお祭りなどのイベント主催者の方のために、そのノウハウを伝授いたします。

ブルーインパルスを招聘する(呼ぶ)にはどうしたらいいのか?

画像: 国際航空宇宙展横浜2004年(写真:藤吉隆雄)

国際航空宇宙展横浜2004年(写真:藤吉隆雄)

「将来を見据えて、いまから何年か先かもしれないが、地元のお祭りやイベントでブルーインパルスに飛んでほしい」

 そんなときにどのようにアプローチしたらよいか、ここではそのヒントを記述したいと思います。

 筆者は2003年から2005年頃、社団法人日本システムハウス協会(現一般社団法人組込みシステム技術協会)の主催する「Embedded Technology展」のカンファレンス委員をしておりました。展示会と付随するカンファレンス、セミナー類のその年の方向性を決めて、具体的なプログラムにしていく委員会で、協会の会員企業の代表としてボランティアとしての委員を務めました。この展示会は「横浜パシフィコ」で行われ、2004年には国際航空宇宙展がここで開催され、上空でブルーインパルスが展示飛行を実施しました。

 2003年のDVDでしたか、総括班長・5番機の渡辺学3空佐(当時)が「町おこし村おこし大歓迎。2年くらいか前もって言っていただければ」なんて言われていたのを覚えていまして、その頃は書物もDVDも目を皿のようにして見る日々でしたから(笑)、もしかしたらうちの展示会でも呼べるかもしれない、などと考えてしまったのです。実はたまたま国際航空宇宙展と同じイベント企画会社に運営実務を委託していたこともその背景にありました。

 藁をもつかむ思いで、協会担当課長の首を縦に振らせ、当時の第11飛行隊長西村弘文2空佐(当時)に、「なんとかブルーインパルスに飛んでもらうことできませんでしょうか」と松島基地までお願いに上がりました。しかし、お答えとしては「ブルーインパルスのスケジュールは自分たちでは決められなくて、ここ4空団も超えて、空幕が決めるのです」というものでした。そして、空幕広報室のスケジュールを担当されていた横山3空佐(当時)をご紹介いただき、今度は市ヶ谷の防衛省航空幕僚幹部広報室にお伺いしたのです。

ブルーインパルスを呼ぶポイント

 空幕広報室に伺いまず言われたのは、

●こういう場合の窓口はブルーインパルスでもなく空幕広報室でもなく各都道府県にある「地方連絡本部」になります。

 ということでした。そして、以下のことを含む申請書を出してくださいと言われました。書式はフリーでした。

●公共性のあるイベントであること(の説明)
●航空自衛隊にとっての広報効果(集客数など)
●なぜブルーインパルスなのか

 公共性については主催する社団法人が「経済産業省の外郭団体である」ことを強調し、それまでの来場者の推移や、なぜブルーインパルスなのかについては展示会のテーマとする組込みシステム産業が「元々航空宇宙や防衛システム分野で発展し、今日では民生品にもその成果や技術が貢献している云わば原点であり、その象徴としてブルーインパルスに飛んでほしい」という内容にしました。

 この結果、ブルーインパルスの日程の候補には上げていただきましたが、結果は落選でした。理由は、

●空域調整(が難しい)

 ということでした。もし、もっと入念に時間を掛けて、社団法人の監督官庁である経済産業省を絡めるなどして、国交省への根回しなども行っていれば、もしかしたら空域調整の問題もクリアできたかもしれませんが、羽田空港の離発着が絡む横浜では、私が草案した「組込みシステム技術が元々航空宇宙や防衛システム分野で発展し、民生品にもその成果や技術が貢献している云わば原点であり、その象徴としてブルーインパルスに飛んでほしい」という理由では、航空宇宙産業そのものである国際航空宇宙展と同じように横浜で飛ばすことは難しかったでしょうね。また、申請書を書いているときも、そこにハードルがあるとはまったく思っていませんでした。

 ●の要点を5つほど書きましたけれども、その辺りから何となくどのようにアプローチすれば良いかイメージして頂けましたでしょうか。

 お勧めとしては、やはり自治体と一緒になって、自治体が防災や災害派遣で自衛隊と連絡をしているルートを通して、お願いするという方法です。正解やこれだという方法はありませんが、配慮すべきポイントはここに記しましたので、来年再来年を見据えて、ぜひ各地のイベントでブルーインパルスが飛ぶようぜひ招聘してみてください。

 ブルーインパルスも筆者が申請した頃よりもかなり人気が上がって引っ張りだこですが、いつか自分の町で村でブルーインパルスを飛ばしたいという気持ちがあればきっとその声は届くはずです。

 ブルーインパルスが行かなければ一生行かなかったかもしれない土地がいくつもあること(根室、当別、山田、経ヶ岬、土佐清水…たぶんブルーインパルスを知らなければ東松島市も)も筆者の実感するところです。ブルーインパルスがポストコロナ禍の地域経済活性の起爆剤になることは間違いないでしょう。

 追伸:文中にあります空幕広報室横山3空佐(当時)には、上述申請をきっかけにその後も筆者の発行していた「Imachan通信」なる航空祭レポをお送りして、また第11飛行隊に配布いただくようなこともして頂きました。そのご縁でブルーインパルスファンネットの立上げにもご理解を頂きご協力いただきました。本記事文面をお借りして御礼申し上げます。

ブルーインパルスファンネット管理人
https://www.facebook.com/blueimpulsefan.net


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