皆さんは、自衛隊「地方協力本部」を知っていますか? 略して「地本(ちほん)」と言います。さらに各地本には出張所や地域事務所、募集案内所などがあります。意外と皆さんの住む町、通う町にもあるかも知れませんよ。
このコーナーでは、めぐみさんの相棒「ぐみさん」がのんびり、まったり、たまにはググっと切り込んで地域事務所などを案内していきます。
事務所を探し、隊員の素顔をのぞくため、さぐり歩く、「ぐみさんの地本探訪記」。記念すべき第1回目は東京地本・北地域事務所をご案内。さぁ、ぐみさんと一緒に探訪しましょう!
「地本」ってなぁに?
全国に50カ所ある地方協力本部(地本)。最北端は北海道の旭川地本、最南端は沖縄県にある沖縄地本。"地本"を防衛省のホームページで調べてみると「(自衛隊の)受験、見学、質問、相談などの窓口」とあります。

イベントで自衛隊をPRするトウチ君
街角でパンフレットを配っていたり、お祭りやイベントで自衛隊のブースを見かけたことはありませんか? 自衛隊のPRは”地本”の大事なお仕事の1つ。そのお仕事を担っているのが”広報官”です。彼らは日々、自衛隊のPR、募集活動に従事しています。
”チホン”ってどんなところ?|自衛官募集ホームページ
https://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/chihon/aboutchihon.html
地域の事務所ってなぁに?
地域の事務所の役割は、地本と同じ「(自衛隊の)受験、見学、質問、相談等の窓口」ですが、より地域に密着した窓口となっているのが、出張所や地域事務所、募集案内所などの地域の事務所なんです。「自衛隊のことは地域の事務所へ」と言っても過言ではありません。

皆さんはお仕事を探すとき最初に何をしますか? まずは検索ですよね?
入社を希望する企業がどんな会社か、お給料はどのくらいか。ブログを見たり、評価を見たり。自衛隊も同じです。一般企業に比べると国の機関なのでシステムやお給料はオープンになっていて一見わかりやすそうですが...
実際は「自衛隊」そのものがイマイチわからない、なんてことありませんか? そんな時に頼れるのが地域の事務所に駐在している”広報官”です。たとえば・・・

こんな疑問や相談、些細なことにでも丁寧に対応してくれて、一緒に答えを見つけてくれる。とっても心強いんです。
自衛隊の記事を見ていると「不安を払拭した」という言葉をよく見かけますが、まさに彼ら広報官の成せる技。(え?見たことない⁉ そんな方はぜひ「防衛日報デジタル」へGo! まだ間に合います)
話を聞くだけじゃなく、実際に部隊を見学したり隊員とのふれあいも。目で見て、肌で感じて、経験から不安や疑問を解消してくれます。自衛隊に興味がある人なら、搭乗体験や艦艇広報、キャンプ体験などの記事をよく見ますよね?(え?見たことない!?そんな方はぜひ「防衛日報デジタル」を)
部隊と協力して自衛隊を理解してもらい、入隊希望者を増やすのも広報官の大切なお仕事。
疑問がふくらんで、どうしても叫びたくなったら、山へは登らず地域の事務所へ行きましょう。

まずは「知る」ことから。広報官が何でも丁寧に答えてくれます。
それでは、頼れる広報官に会いに行ってみましょう!
第1回 東京地本~北地域事務所編~
今回お邪魔するのは東京地本・北地域事務所。
東京地本には全部で20カ所の事務所があり、東京23区だけではなく、ここ数年人気急上昇の「檜原村」や私の行ってみたい島ナンバー1の「青ヶ島村」までをもカバーしています。ぜひお近くの事務所を探してみてください。案外すぐそばにあったりして。
北地域事務所は東京都北区赤羽にあり、北区と板橋区を担当している事務所です。
赤羽は、飲み屋街が多くてデイープなイメージを持っている方も多いと思いますが、住みたい街ランキング上位になったりと実は住みやすい街でもあるんです。
JR赤羽駅にはエキュートがあり、きれいで便利。もちろん千円でべろべろになれる「せんべろ」も赤羽駅東口にわんさとあります。
北地域事務所があるのはディープでホットな東口ではなく落ち着いた西口。マスクを装着したコロナ対策バッチリのぐみさんが赤羽駅に到着。いざ!北地域事務所へ。

ども。防衛日報社のアイドル「ぐみさん」です。めぐみさんがナマケモノが大好きだから、それでボクがマスコットに選ばれたんだ。ボクが防衛日報社に来た時はみんな驚いてたよ。(いろんな意味で)。でも今はたくさんかわいがってくれる。ボクがいると和むんだ。ナマケモノが怠け者だっていう誤解は、ボクが必ず解いてみせるよ。

JR赤羽駅西口を出ると目の前にはショッピングセンター、赤羽ビビオ。右に曲がりロータリー沿いを3分歩くと到着。右手に黄色いビルが見えるのでエレベーターで5階へ。すると目的地、北地域事務所に到着です。

到着してすぐにジオラマがお出迎え。すごくよくできています。こんにちは~・・・

パンフレットを元に自衛隊の仕組みをひとつひとつ丁寧に説明してくれます。
・・・おっと。ぐみさんの前にお客さんが。来所は大歓迎とのことですが、今は「密」な環境を避ける時なので、事前に電話で予約いていただけると幸いです、とのこと。目的にぴったりのステキな担当広報官があなたを待っていてくれますよ。
事務所はコロナ対策も万全です。室内の換気はもちろん、手指の消毒に体温チェック、それに、ついたて。安心してお話しできますね。ぐみさんもしっかり消毒。体温は...室温と同じ25度。万全です! さぁ、そろそろぐみさんの番です。
ぐみさん、初仕事!

今回お話をうかがう金盛保則2空曹は、とても優しく真面目なお人柄。どうぞ、ぐみさんをよろしくお願いします。さぁ、ぐみさん、初仕事だよ。
ぐみさん:はじめまして、防衛日報社から来たぐみさんです。「ぐみさん」て呼んください。「ぐみさんさん」じゃない方向で。
金盛2空曹:はじめまして、ぐみさん。こちらこそ、今日はよろしくお願いします。
ぐみさん:今日は温かく迎えてくれてありがとうございます。うれしいな。テヘッ。。。ではさっそくの質問です。金盛さんの経歴を見ると、海自に入隊して今は空自って書いてたけど、どうして海自から空自へ?
金盛2空曹:入隊を決めたのは自衛隊員の父の影響です。かくかくしかじか、いろいろありまして海上自衛隊に入隊しました。でもパイロットになりたい、航空機に関わりたいという小さい頃からの夢を諦めきれなくて航空自衛隊に。父も空自隊員でしたし。空自に入隊してからは百里基地にある第7空団の整備補給群修理隊へ配属になって、そこでは整備士として航空機整備に従事してました。
ぐみさん:最近、整備士ってよく目にするなぁ。航空自衛隊女性自衛隊員活躍紹介パンフレット「空女(SORAJO)」でも紹介されてるよね? ボク的にも大好きで興味深々な職種なんだけど、航空機整備のやりがいを教えてほしいな。わくわく。
金盛2空曹:やりがいかぁ。やっぱり自分の整備した航空機が今日も安全に飛行しているということですね。大空を飛んでいるあの機体は私が整備しているんだ、という誇りがありました。あとは、F4の機体整備が楽しかったなぁ。(遠くを見る目)
ぐみさん:F4?? 2021年には運用が終わって退役しちゃう、あのF4??
金盛2空曹:そうです。F4みたいな古い機体は仕組みやパーツがかなりのアナログで。そのアナログな部分が整備ごころをくすぐって、本当に楽しかったです。

笑顔で答えてくれる金盛2空曹
違う世界を経験したくなった
ぐみさん:そんな整備大好き金盛さんがどうして広報官に?
金盛2空曹:航空機整備という現場一筋から違う職種、世界を経験したくなったんですよね。それに、自分が教育している後輩隊員がどうやって入隊したか気になって。「募集の入口」を知りたくなったのがきっかけです。
ぐみさん:「募集の入口」、何だか奥が深そう。実際、広報官になった感想は?
金盛2空曹:ぐみさんもご存じのように募集は大変です。でも担当した子が入隊した時は本当に嬉しいんです。学生だったり、自衛隊を全く知らなかった子が、入隊して制服で会いに来てくれるんです。敬礼してお礼を伝えてくれた時は感動しました。その子たちの成長を間近で見ることができるのは広報官の特権ですね。
噂の?ふわふわ男子
ぐみさん:忘れられないエピソードを教えてほしいな。
金盛2空曹:「息子に定職についてほしい」というお母さんと2人で来所したふわふわ男子ですね。
ぐみさん:ふわふわ男子?
金盛2空曹:はい。「定職についてほしい」との、お母さんたっての願いで自衛隊への入隊を目指して受験したんですが、落ちてしまったらしいんです。でも実は・・・そもそも受験していなかったことが後で分かったんです。ほんと驚きましたよ。でも彼はお母さんの強い願いで2回目の受験に挑んだんです。そして見事合格。私たちも安心しましたが何よりお母さんが一番安心していました。ちなみに、2回目の受験は試験会場まで付き添って、彼が会場入りするまでを見届けました。教育先に向かう時も東京駅で、頑張るんだぞ!って彼の背中を押して送り出しました。
ぐみさん:彼、頑張っているのかなぁ。教育って大変だよね。キツイしツライし、とっても厳しい毎日。ふわふわ男子な彼には・・・
金盛2空曹:それがですね、ぐみさん、この話には後日談がありまして。
ぐみさん:え (°д°)!?
金盛2空曹:半年後、入間基地に行ったときに正門で警備にあたっている彼と再会したんです。お互い任務中だったので言葉は交わしませんでしたが、立派に任務にあたっている彼の姿に「あぁ、続けてくれてたんだ」と感無量になりました。しかもですね、彼の上司が私の同級生で、、、
ぐみさん:え~ (°д°)!?!?
金盛2空曹:「かなり厳しい指導下でも彼は頑張っている」という近況も聞けたんです。ほんと嬉しいですよね。
ぐみさん:もう、ふわふわ男子ではなかったんですね。
金盛2空曹:はい。凛々しい青年でした。

ぐみさんに熱心に陸自の受験を勧める金盛2空曹
なんと、所長にもお話を聞けました!!!
続いてお話を伺ったのは所長の井上直美3陸佐です。かなり赤裸々に体験談を話してくださいました。これはラッキーです~♡

ぐみさん:よろしくお願いします。ぐみさんです。
井上所長:わぁ!ナマケモノ!大好き!
ぐみさん:キュキュ━━━━ヽ(*'∀`*)ノ━━━━ン!!!
ぐみさん:こほん、(気を取り直して)ズバリ、地域の事務所とは?
井上所長:ズバリ!募集の要です!!
ぐみさん:なるほど。所長は今年の3月に北地域事務所の配属となって、その後すぐにコロナの影響で思うような活動ができなかったって聞いたよ?
井上所長:そうなんです。募集の要って言ったけど、コロナの影響でイベントや街のお祭りも、のきなみ中止。募集に関する活動は制限されちゃっていて。みんなに自衛隊を知ってもらう機会を作ることができなくて大変でした。
井上所長:でもやっと! 「イオン板橋」でのイベント開催が決定しました!今年唯一の開催だからみんな張り切ってます! 装備品の展示もあるからみんな来てね。
ぐみさん:さりげなく確実な宣伝。さすが所長。ごちそうさまです。所長になって6カ月、広報官との関わりとかはどうなの?
井上所長:頑張ってます! 金盛2空曹が言っていた、入隊した子があいさつに来た時の話もそうですが、私は喜んでいる広報官を見るのが好きなんです。受験した子が合格したり、企画していることが形になったり、それももちろんうれしいんです。でも、何より広報官がうれしそうにしているのが私は一番うれしいんです。そのためだったら何でもやりますよ!
ぐみさん:か、かっこいい!!(。✪ω✪。`)(憧れの視線)

実はこの後も、時間を忘れてかなり笑わせていただいたんだけど...井上所長のネタのストックは無限大。特に北部方面航空野整備隊での話は尽きることはなく。それはまた今度、別の機会に...
金盛2空曹の海自入隊までのかくかくしかじかな話しや航空機整備の楽しさ。井上所長の鼻水が凍った体験談や富士山登頂捻挫事件など、詳しく聞きたい方は北地域事務所までご連絡を。経験は人生の宝物。そう思える時間だったな。
最後に、井上所長に今後所長として心掛けていくことを聞いたよ。
①目標達成に全力を尽くすこと
②地域に根付くこと
③広報官と苦楽を共にすること
何だか胸が熱くなっちゃった。仲間のために動ける井上所長はかっこいい。めぐみさん、ボクたちも頑張ろうね!
北地域事務所広報官たちの憩いのお店「まるいち」
めぐみさん:ここからはぐみさんに替わり私がご案内!
北地域事務所の広報官オススメのお店、居酒屋「まるいち」をご紹介します。場所は、事務所のすぐ下。歓送迎会は必ずこのお店で行っているそうで、事務所のみんなとも仲良しです。
青森県出身のお母さんにちなんでお店は東北一色。東北のお酒とおいしい料理で大満足。ここは青森か?と思わせるお母さんの東北訛りが北国出身の私には懐かしい。
コロナの影響で実家に帰ることができてない東北の方はお母さんに会いに行ってみてください。「実家に帰ると、何も言わずにお母さんが自分の好物を出してくれる」まさにこんな感覚になれるお店です。

写真からも伝わる仲の良さ。また必ず行きます!

こんなの前にしたら、一杯やりたくなっちゃうよ!
居酒屋まるいち
〒115-0055
東京都北区赤羽西1丁目37-3
TEL : 03-3905-1641
めぐみさんから・・・「蛍の光」にのせて
皆さん、いかかでしたか? 地本、そして地域の事務所について少しでも興味が湧いて、自衛隊を身近に感じてくれたらうれしいです。
次回はあなたのまちに事務所を求め、隊員を求めさぐり歩くぐみさんがフラッと現れるかもしれません。そのときは温かく迎えてあげてください。
最後に、取材にご協力いただきました、東京地本、北地域事務所、まるいちのお父さん、お母さん、本当にありがとうございました。

めぐみさん:本当にありがとうございました!
ぐみさん:ボク、すっかりファンになっちゃったよ。
自衛隊東京地方協力本部 北地域事務所
〒115-0055
東京都北区赤羽西1丁目37-2
TEL : 03-3900-8411
https://www.mod.go.jp/pco/tokyo/kita/index.html