画像: 年頭の御挨拶|海上幕僚長 海将 村川豊

 皆様、新年おめでとうございます。旧年中賜りました数々の御支援・御協力に対し、海上自衛隊を代表し、深く感謝致します。

 さて、我が国を取り巻く安全保障環境は、既存の秩序をめぐる不確実性が増大するなど、極めて速いスピードで変化しています。また、宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域の利用拡大は、これまでの安全保障の在り方を根本から変えようとしています。

 グレーゾーン事態は長期化する傾向にあり、いわゆる「ハイブリッド戦」は軍事・非軍事の境界を意図的に曖昧にしています。更に、各国ともゲームチェンジャーとなりうる最先端技術を活用した兵器開発を推進し、人工知能を搭載した自律型無人兵器システムの研究にも取り組んでおり、これらは、将来の戦闘様相を予見困難なものとしています。

 翻って我が国周辺では、中国が今世紀中葉までに「世界一流の軍隊」を建設することを目標に、透明性を欠いたまま、軍事力の質・量を広範かつ急速に強化しています。北朝鮮は、朝鮮半島の完全な非核化に向けた意思を表明したものの、核・ミサイル能力に本質的な変化はありません。

 このような情勢下、海上自衛隊は、国民の皆様の期待に応え、厳しさを増す安全保障環境に対応し、我が国防衛はもとより、「自由で開かれたインド太平洋」を実現していきます。

 このため、昨年末、新たに策定された防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画を踏まえ、「人的基盤」、「作戦基盤」及び「装備技術基盤」の3つの基盤強化を加速して参ります。

 特に、人的基盤の強化においては、民間技術力や退職自衛官の一層の活用、無人化・省人化を重視し、作戦基盤の強化では、新たな領域での能力を含めた各種戦能力の向上、米海軍との更なる相互運用性向上を重視、装備技術基盤では、防衛装備庁と連携したゲームチェンジャーとなり得る装備品の研究開発に、これまでとは異なるスピード感をもって注力して参ります。

 全隊員一丸となって我が国を守り抜くため、果敢に挑戦する海上自衛隊に、本年も皆様からの御支援・御協力を賜ることができれば幸甚です。

 最後になりますが、本年が皆様にとって幸多き年になることを祈念し、年頭の御挨拶とさせていただきます。


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